記憶の本棚

・読書感想を中心に映像作品へのコメントなども。

しをんのしおり/三浦しをん

今年の1月に読んで感想書いた「妄想炸裂」の次の巻??同名のHPの記事を纏めたオタクエッセイ集。「妄想炸裂」が新書館ウィングス文庫だったが、これは新潮文庫。出世したって?

記事内容の時間はさほど隔たってはいないと思われるのだが、なんだろう、読みやすい。一つには頁組だな。ポイントと行間が異なる。簡単な話を、密度を下げて読ませれば、そりゃ楽に読めるか。さすがに老舗の編集力、とはほめ過ぎだろう。新書館の方は、力が入って詰め込みすぎたって感じでしょうか?それはそれで微笑ましいなぁ。

もちろん、「しをん節」にこちらが順応してきているということもあるだろう。前回感じた「もういいよ」という感じを今回は感じなかった。むしろ楽しく読めたと言える。内容はまあ、相変わらずのオタクさんなんですけど、こちらのその部分に響いて笑えるのが不覚(笑)。

うーむ、

作者の行く末は行く末として、

このシリーズはまた読んでみたいかな。古本で。

模倣犯/宮部みゆき

厚い文庫が5冊組。購入したものの、なかなか手をつける契機がなかったのですが、風邪で職場休んだりして、やっと手が伸びました。

宮部先生、やはり凄い。

前半位まではタイトルに関して、「どこが模倣犯なんだろ。レベル7の二の舞か」と失礼にも思ってしまったものですが、しかしなるほど、いろんな「模倣犯」が出てきます。人間、どこかしら「模倣」「犯」の面があるものなのかもしれません。身勝手な存在、としての。

人物の造形、描写の上手さたるや、ほとんど神業。登場人物が皆、生きている人間として感じられます。どの宮部作品でももちろんそうですが、これだけ多くの人間を登場させて、見事な筋立ての中で関わっている様子はただただ、「凄いな」、といつもの様に感心するしかありません。宮部先生の筆力に「嫉妬」するなんてのは、ホントにその人にも文才があるか、いやむしろバ●であって、一介の本読みとしてはただただ呆然陶然すろのが正しい態度と言えましょう。

真一も「宮部少年」で嬉しかった。辛かったり、間違ったり、近しい人を傷つけてしまっても、そこから立ち上がる姿。40過ぎのオジサンには眩しくてならないよ。久美ちゃんとうまくやってって欲しいなぁ。いや、心配ないか。

ネタバラシはできませんが、いやぁ、宮部作品が好きな貴方、これは厚いからついつい後回し、ってのは損、ですよ。もちろん、題材は悲惨以上な犯罪に関するものなのですが、これだけの「小説」を読めた、という嬉しさは、「本読み」さんには解ってもらえるものと思います。

最後の三行を読んで、ふぅ、と息をついて、しばらく余韻に浸る。

幸せな読書をしたな、という実感

が、あります。

指揮官たちの特攻/城山三郎

宇垣纏が終戦日に特攻した、という話は知っていたが、真相はこれか。テメエで操縦もできないから、部下を道連れに死んだだけじゃん。とっと拳銃で頭撃て、阿呆。

一歩間違えれば詔勅もぶっとんで戦が続く不忠甚だしい勝手な愚行。

ウロが回って逃げ回った挙句、逆上して終戦の詔勅の後に部下を道連れに死んだ訳だ。見事に旧軍の上層部の体質を具現化しておるよ。

負け戦になった時に、最後の突撃をして果てる、というメンタリティーは、当時としては絶対規範な訳で、そこを後世に生きる人間が批判はできない。

問題は、腐った上層部連中で、部下ばっか死なせてテメエらはどうした、ってことだ。軍隊、という仕組みが、結局そうなんだろうな。

源田実が戦後に参議院議員になったのだって、まあ恥知らずだわな。恥知らずが一杯いて、誠実な武人や学生兵がぼこぼこ、そんなやつらに殺されて行った訳だ。

戦死者は犬死だった、と言われるのは遺族には辛いだろう。死者の心情を思いやれば当然だ。それでも、

「無駄に殺された」人たちの無念さ

を変に飾り立てて「美しい国」を作りたい人種が、またぞろ息を吹き返してきている日本、から目をそらしては、そらされてはなるまい。

ナントカ還元水飲んでる人間庇ってるのも、旧軍のインパール作戦の責任取るのがいなかったのと同じ体質だわな。

浜の真砂は尽きるとも恥知らずらの尽きぬことよ。詠嘆。

この本に描かれた悲劇が、当時無数にあった、ということ。

学校で教えてくれなかった、で済むことではないよな。戦後教育が巧妙に太平洋戦争を教えないことにしてきたその筋の計略が、また国を滅ぼしにかかっているのだろう。知ろうとする事が、大事なのだと、思う。

あやし/宮部みゆき

宮部みゆき先生は当代随一!

さて久しぶりに宮部作品を、と購入。読み始めてしばらく経って・・・。

「あ、これ読んでるわ。」

未読作品の積もりだったのですが、既読でした。しかしそこはペコポンな脳力、すっかり筋を忘れていたので、新鮮に楽しめましたー。

宮部作品は、初期の「宮部少年」達の活躍する話も好きですが、ホントに同じ人間が書いているんか、と(前にも書いたな、これ)思う時代物も凄いですよね。なんちゅーリアル感だろう。

文体も、短編怪談集にぴったり。こんな作家さん、他にいるかぁ??間違いなく、創作の神に愛されている方ですね。日本の本読みにとって、宮部作品は、絶対に外せないですよ。

特に本集収録の作品には、「判らないけど怖い」ものがいくつもあって、その才能に唸らされます。未読者さん、是非お読みください。つまらない筈がない!(太鼓判。ポム!)

でね、私は

かぼちゃの神様の話がとーっても好き(^^)。

忘れ得ぬ翼/城山三郎

城山作品で既読なのは「官僚たちの夏」くらいだった(筈)。
没後惜しむ声が多く、いくつか買い求めた本の一冊。

タイトルはロマンチックと言っていいだろう。
だが、「忘れ得ぬ」ことの辛さと苦さと。
このタイトルは決して「ロマンチック」な意味を込めて付けられたものではない。

『戦争』によって振り回された登場人物の姿は、哀しい。

城山さんの文体は、派手でも華麗でもない。その剛直さ故に、『戦争』『全体主義』への怒りがまっすぐ伝わってくる。

と同時に、作者の表意を超えて、『戦争』に限らずとも何かによって振り回され、それに拘泥せざるを得ない「人間」の姿を、

恐らくは万人に共通する人生の哀しさ

を見事に描き出している、と思うのです。

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結戸 要

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趣味:読書、と言いながらここ数年は読書量が落ちていました。知人の読書家に触発されて、ブログに感想を記録していこうと思います。結構節操がないので、ジャンルが飛び回ると思いますが、お目に留まれば幸いです。

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