記憶の本棚

・読書感想を中心に映像作品へのコメントなども。

陽気なギャングが地球を回す/伊坂幸太郎

・巷に名高き伊坂幸太郎とは、と手にする。

・まるで銀行ギャングが一般的な職業であるかのような不思議な世界観が、無理なく成立しているのが驚き。

・伏線が露なのだが、まあオシャレな話ではある。


・それにしても地道。どうしようもない男だよなぁ。(苦笑)

しゃべれどもしゃべれども/佐藤多佳子

・「黄色い目の魚」で惚れ込んだ佐藤多佳子さんを追いかけ始めました。

・登場人物の描写が、実に緻密。それぞれに際立ったキャラクターが、実に切ないほど絡み合う筋立て。さすがは97年度本の雑誌が選ぶ年間ベストテン第1位の品だ。

・「受賞作」なんてものには背を向けがちな天邪鬼だが、やはり認められる作品には、それだけのものがあるのだなぁ。

・まったく、これほど魅力的な描写で立つ人物達をよくもこれだけ、というほど産み出し、かつそれぞれが関係する話を書けるものだと思う。主人公とその受講者4人だけでなく、同心円を描いてその周囲に配される人物も、まるでよく知っている自分の知人のように、作中に居る。

・特にも最後のシーンの、鮮やかさは素晴らしい。物語の流れが、最後の瀬を鮮やかに過ぎていくイメージ。切なく美しく、嬉しく。そしてこの流れは、また先へと続いていくのだ。読後に得る幸福感。

・こっちまで十河を抱きしめたくなる。不思議だ・・・・。

一体いつの間に惚れちゃったんだろう?俺・・


・それにしても白馬師匠、熱い人。未熟な三つ葉が可愛いのがビンビン伝わってきます。(^_^)

ガールズ・ブルー/あさのあつこ

・落ちこぼれ高校に通う若者たちの日常。苦しくて切ない日々の心のあり様。

・「青春」というものを振り返ってみえば、こういう「時代」であったように思えるのだろう。

・もちろん、今時のホンモノの高校生が、これほど自覚的に生きているとも思えない。それでも、その「思えない」理由が、あの日々から遥かに遠ざかってしまったことにあるのではないか、と自省させるものが、この作品にはある。

窮屈でも、先が見えなくても、輝いていた日々。もしかしたら自分にもそんな季節があったのかな、と思わせてくれる作品である。

巨人たちの星/J・P・ホーガン

・ガニメデ3部作の第3部。

・第3部にして、お馴染みのホーガン作品の香りが満喫できます。

・地球連合軍の馬鹿馬鹿しい程の大陣容。真実が(数字削除)なだけに、大爆笑ものです。ヴィザーの悪ノリさ加減が楽しい。

・悪党を、知恵と勇気で打ち破る、という、恥ずかしいほどストレートな物語こそがホーガン作品の魅力ですが、「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」によって細かく描写されて用意された世界設定が、この話で一気に花開く、といった感じ。

・ホーガンが示す「地球人」の良き資質。それはきっと作者の「諭し」でもあるのでしょう。


我々人類は、この作者の「希望」に

応えることができるのでしょうか。


十一番目の戒律/ジェフリー・アーチャー

・途中で既読だったことに気づく。しかし古典落語なみに、結末が判っていても進行状況にドキドキさせられる。

・「汝、正体を現すなかれ」 このCIAの戒律が、全編を通すモチーフとなります。


アンドリュー・ジャクソン、凄まじく義に篤い漢。

椿山課長の七日間/浅田次郎

・映画化された、ということでなんとなく手をつけなかった本作。なんて天邪鬼なヲレ。

・冥土のオフザケ加減が、本質的に悲しい話を明るくしてくれてる気がします。そうじゃないと悲しすぎるよ。

筋を通す。ルールとマナーを両方守る。

・浅田作品でやくざものが面白いのは、そういう厳しく美しいモノを守るキャラとして生きやすいからなのだろう、と思う。

・けれど、それは中年の課長だって、孤児の少年だって、シベリア帰りの老人だって、「同じ」なんだと。

・最後の最後に筋を通せるか、自分の身可愛さに逃げるか、が「ガキ」と「大人」の差、なんだろうな。稼ぐカネじゃねーよ。

・「ガキ」が爆発的に増殖している時代、浅田作品はヲレにっとっては酸素ボンベのようなものなのかもしれない。

・それにしてもマヤさん、割といい娘だと。(^_^)

見上げれば星は天に満ちて/浅田次郎 編

・作家による日本文学秀作編シリーズらしい。
浅田先生の「心に残る物語」とは、と興味を持って購入する。

・恥ずかしながら選択された作品で読んで覚えていたのは「山月記」「耳なし芳一のはなし」くらいなもの。山本周五郎も井上靖も読んでいるとは思うのだが記憶がない。

・しかし、なるほど、浅田先生の志向とはこういう作品群か、と納得。実際、本を読まない作家、なんて想像もつかない訳だが、こういう出版企画でお気に入りの作家の内側を垣間見た気になれるのはファンとして嬉しい。

とくに浅田先生みずからの「あとがき」が素晴らしい!

・浅田ファンにオススメしたいと思います。

ガニメデの優しい巨人/J・P・ホーガン

・ガニメデ3部作の2。
・進行する事態を体験しつつ、複雑な謎解きを見る快感。

・あのー、超光速航行やら遺伝子改造やら相対性理論なんか誤ってるよーん、などとスッゲー超科学を持つ巨人族が、大気中の二酸化炭素の増加に絶望しちゃうっていかがなもんでしょうか。

炭素固定すりゃいい話なんじゃないのかなぁ。


工場の培養槽で遺伝子改造したクロレラを大量培養、みたいな話をこの科学力でやればよかったんじゃなかろうかしら??

・とまあ、突っ込みたい処はいろいろあるのですが、そこら辺は「危機」の記号として読み流せばよいこと。この作品の眼目は、謎解きの過程と、それによって導かれる結論への衝撃。

ハントとダンチェッカーの微妙繊細な関係をもうちょっと掘り下げて描写してほしかった気はするものの、なにしろ「謎解き」が雄大なスケールだから、そりゃしょうがなかったかな、という気もします。

・さあ、第3部が楽しみだーっと。

星を継ぐもの/J・P・ホーガン

・ホーガンといえばガニメデ3部作。
・ホーガンファンでありながら、じつはこのシリーズには手をつけていなかった。こういうところ、天邪鬼さがあるんだよなぁ。

・で、人生後半に入った時期に、ホーガン物を順次再読しようと思い立って、まず手をつけるとすればこれか、と。


なんという雄大な構想と大胆な仮説!



・さすがに現代SFの基礎作品の一つだけあって、実に素晴らしいスケールです。

・問題としては、このすばらしい「構想と仮説」の開陳だけに終始している観があることで、「小説としてはどうなんだろう」と思わないことはありません。

・しかしながら、この雄大な構想は、小説としての欠点を補して余りあると思います。センスオブワンダー!

余寒の雪/宇江座真理

短編集。「紫陽花」「藤尾の局」が面白いか。

ただ、短編だからあっさりしていてもいい、という訳ではないと思う。
総じて『作家に書きたいという動機があったのか』という疑問を持ってしまう厚みのなさはどうだろう。

再読は、しないなぁ。

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結戸 要

結戸 要

趣味:読書、と言いながらここ数年は読書量が落ちていました。知人の読書家に触発されて、ブログに感想を記録していこうと思います。結構節操がないので、ジャンルが飛び回ると思いますが、お目に留まれば幸いです。

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