記憶の本棚

・読書感想を中心に映像作品へのコメントなども。

カラフル/森 絵都

・楽にスルスルと読める本でありながら、読み終えて充足感がある。

・実際、1時間ほどで読了できたが、こういう本を若く悩む子に読ませたいと思う。

・途中で主構造に気付くも、それが作品の魅力を減じることはなかった。

・浅田作品の「椿山課長・・」と思い比べたりしました。

天使がステキ。(^^)

八日目の蝉/角田光代

・誘拐と擬似親子関係。

・前半、読み進めるのが辛いのは、偽りの親子関係の中の幸福と、かならず訪れる破綻の予感のアンバランスさだろう。「破綻しなければならない」関係が痛々しい。誘拐という加害側の身勝手さが、被害側にどれだけの傷を残すことになるかを意識して、苦しくなる。

・後半は、被害側に視点が移る。予感通りに、根を切られた植物が必死で生き延びるような描写。これほどの傷のなかで、それでも話が救済の結末に向けて進み出すのは嬉しい反面、綺麗な「お話」ではあるようにも思える。

・でもねぇ、そういう「お話」を読みたいのも本読みではあるのですよ。

・傷痕は、残る。それでも、痛みはいつか、記憶の中に埋もれて欲しい。頑張れ、とエールを送る自分が、ここに、居る。

I LOVE YOU/伊坂幸太郎ほか

・男性作家による恋愛アンソロジー。作者は伊坂ほか石田衣良、市川拓司、中田永一、中村航、本多孝好。伊坂、石田で買ったら中田の「百瀬、こっちを向いて」も載っててお得。

・男性作家と女性作家とは、恋愛書くとやはり色合いが異なるのだなぁ、と。短編の纏め方に性差が出るとは俄かには信じがたいのだが、少なくともこの短編集は、男性ならではの作品集になっていると言えると思う。特に本多の「Sidewalk Talk」が好み。再出発を予感させて綺麗だ。

・シリーズで女性作家ものも出ているので、いずれ読み比べたい。

チーム・バチスタの栄光/海堂 尊

面白い!

面白いっ!!!


とにかくオススメします。ドキドキでハラハラでニヤニヤでドカバキ。

一言で言えば「ヤーなホームズと実はやり手のワトソン」もの(嘘?)。

名医とそのチームが行うバチスタ手術で、突然の死亡例の続出。病院長の指名で調査を始めた愚痴外来の先生。

とまあ、のっけから読み手をどんどん引き込む筋立てで、さらに登場してくる人物がまた悉く「立って」るから面白い。ミステリー部分は勿論、キャラ達の関わり方がまた楽しい。「このミステリーがすごい!」大賞を一躍有名にしたのもむべなるかな。

本作は病院が舞台なので、警察モノみたいなシリーズ化は難しいかなぁ、と思ったら心配無用。続編もリリースされてきているので文庫落ちが楽しみで楽しみで。

早く氷姫にも会いたいなぁ(^^)。

からくりからくさ/梨木香歩

梨木作品の精髄が味わえると紹介された作品。

なるほど。梨木ワールドの風景とでもいうものが判る。と、同時に、この世界には住めないな、とも思う。

例えとしては、時々訪れてもいい景勝地だが、そこで生活はできない、とでも言う感じか。

終盤、「よきこときく」の繰り返しがしつこい。そこまで繰り返さなくても判るよ、と思いかけて、その繰り返しも多重モチーフなのかととも思ったりする。

作品自体は、「女性の描く世界」だな、と感じる。メインが4人の女性+女性型人形、というだけではなく、理屈ではない部分が多いし、時々描写視点が自由に移動したりする。テーマは連綿たる変化と承継。出てくる男性は、なんというか「添え物」感ありあり。

「家守」と「エンジェル」が在庫に控えるが、ちょっと連続はきつい。まあいずれ「西の魔女」までは読むだろう。

天国はまだ遠く/瀬尾まいこ

自殺を試みた主人公が、田園地帯に癒されるという話。

だが、ありがちな話なら、そのまま田園地帯に移り住んで幸せに暮らす訳だが、癒された主人公は、本当の居場所を求めて、再び都会へ旅立つ。

いつかまた、癒しが必要な時に戻れる場所を獲得して、もう一度出発することを選ぶ主人公、という図式が清清しい。

ポケットに名言を/寺山修司

ちょっと数多く仕入れてしまった寺山修司の本の一つ。挙げられている名言の出典を数えれば、寺山修司の読書傾向の広さと量の多さが窺い知れる。

当時の本読み学生は、みんなこの程度の量と他方向の読書をしていたのだろうなぁ。

中に挙げられ、ボクも知っている名言を、ちょっと書き換えてここに残して思う。

『安牌がない手牌は不幸だ。だが、安牌を必要とする手牌はもっと不幸だ』
(苦笑)

初等ヤクザの犯罪学教室/浅田次郎

講義形式が実に見事!内容はまあ、創作も誇張もあるだろうとは言え、やっぱりネタになる経験とか伝聞もあるんだろうなぁ、とドキドキする部分もあって、浅田ワールドの魅力全開、です。

浅田作品を読ませたい人への導入として、勧めるには最適かも。

終講がまたオヤクソクな内容なのだが、あまりのオヤクソクさが帰って心地よい。読者が「オヤクソクじゃん」と突っ込みたくなることを、作者はちゃーんと計算している。これがホントの「オヤクソク」だよねぇ。見事な作品設計、と言えるだろう。

君たちに明日はない/垣根涼介

 リストラ請負会社、という設定が時代的にリアルっぽい。

 一人の人間にとって、社会存在的に重大な危機であるリストラ。
 人間の「存在」が問われるリストラに目をつけ、かつ請負会社という設定で連作集にまとめるというのは的確な設計だ。

 露悪的な描写にうんざりする部分はあるが、面白く読めることは間違いない。

 最後の場面、新旧の恋人がかち合う場面、なかなか絵になる。ここだけ映像作品にしたい、と思った。

スローモーション/佐藤多佳子

私的三大女流作家の佐藤多佳子作品。ただし、本作は陰の要素が大きくて、個人的には読むのが辛かった。

人物の心理描写とシンクロする台詞の的確さは、紛れも無く佐藤作品。早い時期から、作家の特長というものは継続するのだなぁ、と思う。

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結戸 要

結戸 要

趣味:読書、と言いながらここ数年は読書量が落ちていました。知人の読書家に触発されて、ブログに感想を記録していこうと思います。結構節操がないので、ジャンルが飛び回ると思いますが、お目に留まれば幸いです。

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