記憶の本棚

・読書感想を中心に映像作品へのコメントなども。

五郎治殿御始末/浅田次郎

矜持、志操。

決して「頑迷」ではない。

なるほど、かの時代とて不細工な人間はいただろう。時代が一色であることなどないのだから。

それでも、失われてしまった「美しさ」への憧憬を、これほど見事に描き出す浅田次郎先生の筆力よ。

たぶん、これも

「ブッチギリの恋愛小説」

なのだろう。先生の、「失われた美」へのオマージュ。

収録作品では『石榴坂の仇討』が一番の好みです。奥さんの嬉しそうな顔が目に浮かぶ。


それでこの本で一番のオススメはコレ。

「旅というものはの、決して後戻りしてはならぬ」(表題作より)

ああ、逡巡と悔悟にまみれたわが人生よ。このような言葉を言える人間に、なりたい。とても。

十四の嘘と真実/ジェフリー・アーチャー

名手ジェフリー・アーチャーを知ったのは、亡友の紹介だったと思います。

「チェルシー・テラスへの道」や「ケインとアベル」「百万ドルを取り返せ!」と、未読の人に勧めたい作品が目白押しの作家です。その作家の短編集。

「似て非なるもの」の結末に力強く頷き、「挟み撃ち」で微苦笑。そしてラストの「隣の芝生は‥‥‥」で人生の哀愁を感じる、とまあ贅沢な小品が詰まっています。

作家の名前で本選んで、「やっぱり外さないなぁ」という感想であります。

こういう風に、人間を甘く見ていない作家だから、

「チェルシー・テラス」みたいなじんわり温かい話も書けるんですねぇ。

蕎麦屋のしきたり/藤村和夫

有楽町更科四代目の蕎麦に関するあれこれ。

三大看板の「藪」「更科」「砂場」が、客層・営業対象から蕎麦の形態が異なる、というのはなるほど。単なる技の違いではない訳だ。

面白かったのは蕎麦は「汁」が大事、という話で、それに関するアレコレが楽しい。素人でも勉強すれば蕎麦は上手く打てるようになるが、というのは納得。

以前、脱サラだか定年後だかに始めた風の店で、蕎麦はまじめなのに汁が壊滅的にダメだったのを思い出した。ダメっちゃー「神田の藪」の汁も悲惨だけどねぇ。(アレは傷んでいる、だろ)

蕎麦を生業にする店の者は、この本程度のことは基礎に置いてほしいものだ。

普段「富士そば」(立ち食いチェーン)で済ませる男の言えることではないか(笑)。

勝負の極意/浅田次郎

作家になった、と競馬で食ってきた、の2本立てエッセー。

作家になった、の経緯も面白いが、競馬の話が輪を掛けて面白い。

競馬はちーっと齧ったこともあったが、運負かせの25%控除のどこが面白いのか?馬の顔なんか見分けがつかん。こりゃ合わないなぁ、、と思ったものだ。しかしなるほど、かように戦うものなのか。

この勝負の極意、として説かれている点は、他の勝負事にも仕事にも適用できる。まさに「極意」だ。局面限定、は大事である。

それでもやっぱり個人的に「競馬」との相性は悪いな、と思う、だって、こんなに頭を使うゲームなんて「大変」じゃん。

同じギャンブルでもやはり「単純」作業のパチンコがいいなーっと。

なんだ、この結論は!(苦笑)

姫椿/浅田次郎


キター! きました浅田節!

口開けの「獬」で泣いて、締めの「永遠の緑」でまた泣く。泣きながらも、何か人生の喜びと哀しみの入り混じった清清しさが通り過ぎる。うーん、浅田節〜!!

「ブッチギリの恋愛小説が書きたかった」という浅田さんの、こういう嗜好が響くんですよねぇ、心に。ただ、甘いだけの話じゃない、捨ててはいけない志操、というのかな。

収録中では「トラブル・メーカー」「零下の災厄」が箸休め的でしょうか。

その他は、生きる上で捨ててはならない大事な何か、多分

「哀しみ」

が爽やかに描かれています。浅田信者にはストライクな短編集でしょう。

地球人のお荷物/ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン

20年ほど前に、先輩が「マイフェバリット」と読ませてくれた本。当時既に古い本だったので、入手できなかったのですが、IT時代、入手できてびっくり。

今では流石に笑えないか、と思いつつページを繰ったのですが、

面白いっ!!

中途半端に、というか徹底的を通り越して、というか、面白いほど地球の文化に染まってしまうホーカ人と、これまたお人よしだがイロイロ問題がありそうな好青年ジョーンズとの抱腹絶倒のお話お話。

これを笑える人とは、お近づきになれそう。

基本、死者が出ないのですが、しかしまあ、半端なく危機連発。どうしてそっちに転がるかな、という話の暴走振りは涙が出るほど笑えます。

何か、発表された時代の

「上質な笑い」

が封じられている気がしてきます。入手は難しいかもしれませんが、見つけたら即購入して読んでみてください。そして、大笑いできたら、ぜひお友達になりたいものです。

続編はないのか!続編は〜!!!(中毒)

深川恋物語/宇江佐真理

以前読んだ本で「いいな」と思えるものがあって、その作者の名前が独特だったので覚えていました。

ブログはじめるにあたって、ひとつ読み込んでみようか、とまず入手したのがこれ。吉川英治文学新人賞受賞作とのことです。

解説にもあるが、実に風俗描写が上手い。自分の中で、その絵が浮かんできます。

短編集(6本)ということもあり、さほど劇的な展開がある話達ではないのですが、それがかえって味になっているようです。

個人的に好きなのは「下駄屋おけい」で、実に話は

「ここまで直線なのか」

というものですが、その直線さが快いのです

作家で本を読む時は、できるだけ発表順に読みたいと思っています。きっとここからどんどん上手になっていくんだろうなぁ、と期待しています。

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結戸 要

結戸 要

趣味:読書、と言いながらここ数年は読書量が落ちていました。知人の読書家に触発されて、ブログに感想を記録していこうと思います。結構節操がないので、ジャンルが飛び回ると思いますが、お目に留まれば幸いです。

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